生活保護を受けながらスマホを持つことはできる
結論からいうと、生活保護を受けていても、スマホを一律に手放さなければならない制度ではありません。生活保護法や実施要領にスマホの保有を一律に禁止する規定はなく、生活用品の保有は必要性や処分価値などを踏まえて個別に判断されます。
ただし、知っておきたい前提がいくつかあります。順に見ていきます。
スマホの保有を禁止する規定はない
生活保護法第4条は、利用できる資産や能力などを最低限度の生活の維持のために活用することを、保護の要件として定めています。そのため、保有している物が生活に必要なものか、処分して生活費に充てるべき資産かが確認されることがあります。
スマホについても、保有しているという理由だけで一律に処分を求める規定はありません。生活用品の保有については、必要性や処分価値に加え、一般世帯との均衡などを踏まえて判断されます。
判断の目安は「地域の全世帯の70%程度の普及率」
厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」では、一般世帯との均衡を判断する際の基準として、生活用品の普及率が示されています。
当該物品の普及率をもって判断するものとし、具体的には、当該地域の全世帯の70%程度(利用の必要性において同様の状態にある世帯に限ってみた場合には90%程度)の普及率を基準として認定すること
(出典:厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」)
この70%という数字は、「普及している物なら自動的に保有できる」という意味ではありません。利用の必要性があり、処分価値などを踏まえても保有が妥当な物について、一般世帯との均衡を判断する際の基準の一つです。
総務省の「令和7年通信利用動向調査」によると、スマートフォンの世帯保有率は91.8%でした(2025年8月末時点、2026年5月29日公表)。全国では9割を超える世帯がスマートフォンを保有しています。
ただし、91.8%は全国の世帯保有率であり、実施要領が示す「当該地域」の普及率そのものではありません。スマホが全国的に広く普及していることを示す参考にはなりますが、実際の保有可否は、端末の処分価値や利用の必要性などを含め、福祉事務所が個別に判断します。
申請前にスマホを一律に解約する必要はない
スマホを持っているというだけで、生活保護を申請する前に一律に解約しなければならないわけではありません。連絡手段がなくなると、福祉事務所とのやり取りや求職活動などに支障が出ることもあります。
一方で、高額な端末など処分価値が大きい物は、個別に確認される可能性があります。申請時には、現在使っているスマホの機種や契約状況を福祉事務所に伝え、必要に応じて扱いを確認するとよいでしょう。
生活保護中のスマホ代はどこから支払うのか
持ってよいとわかっても、次に気になるのは料金です。ここは誤解が多いところなので、しっかり確認しておきます。
スマホの通信費は生活扶助でまかなう
生活保護には8種類の扶助があります。生活扶助・住宅扶助・教育扶助・医療扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助です。
このうち生活扶助は、厚生労働省の資料で「日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費等)」に対応する扶助とされています。スマホの通信費だけを対象にした独立の扶助はありません。
そのため、通常のスマホ通信費は、生活扶助の範囲でやりくりすることになります。住宅扶助のように、通信費が別枠で実費支給される仕組みではない点を押さえておきましょう。
通信費として決まった上限額は定められていない
生活保護制度には、「スマホ代は月○円まで」といった通信費専用の全国一律の上限額は定められていません。
ただし、支給される保護費には基準があります。厚生労働省によると、保護費は、最低生活費と世帯の収入を比較し、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が支給される仕組みです。通信費に多く使えば、その分ほかの生活費に回せる金額は少なくなります。
生活保護法第60条は、受給中の人に対し、収入・支出など生計の状況を適切に把握し、支出の節約を図るなど、生活の維持・向上に努めることを定めています。必要な連絡手段を確保しつつ、無理のない料金プランを選ぶことが大切です。
端末代の分割払いが家計を圧迫しやすい
見落としやすいのが端末代です。毎月の請求には、通信の料金だけでなく端末代の分割分が上乗せされていることがあります。
契約時に案内された月額料金と、実際に引き落とされている金額が違うと感じるときは、この内訳が原因かもしれません。手元の請求書やマイページで、通信の料金と端末代を分けて確かめておくとよいでしょう。
スマホのことをケースワーカーにどう相談すればよいか
生活保護を受けていると、担当のケースワーカーとやり取りする機会があります。スマホの契約や端末購入が家計に大きく影響しそうなときは、事前に相談しておくと行き違いを防ぎやすくなります。
生活状況が変わったときは届け出る義務がある
生活保護法第61条は、収入・支出その他の生計の状況に変動があったときや、居住地・世帯構成に異動があったときは、速やかに保護の実施機関または福祉事務所長へ届け出るよう定めています。
スマホを契約したことだけで、必ず届け出が必要になるとは限りません。ただし、高額な端末を購入する、分割払いで毎月の支出が増えるなど、家計の状況が大きく変わる場合は、担当のケースワーカーに確認しておくと安心です。
相談しておくと後で困りにくいこと
次のような点は、あらかじめ伝えておくと安心です。
・いま使っているスマホの契約内容と月額料金
・端末代の分割払いが残っているのかどうか
・新しく契約したい理由(求職活動、通院の予約、子どもの学校との連絡など)
・支払いが難しくなりそうな見通しがあるとき
相談するときは、必要な理由と費用を具体的に伝えると状況を共有しやすくなります。求職活動や通院、学校との連絡など、スマホが必要になる場面もあわせて説明するとよいでしょう。
2台目や家族名義は個別に確認する
2台目など複数端末の保有については、必要性や処分価値などを踏まえて個別に判断されます。また、家族名義で利用する場合は、生活保護上の扱いだけでなく、携帯電話会社の契約条件も関係します。判断に迷うときは、福祉事務所と携帯電話会社の双方に確認してください。
生活保護上のスマホ保有の判断と、携帯電話会社の契約審査は別のものです。福祉事務所への相談で問題がない場合でも、携帯電話会社の審査や本人確認の条件によって契約できないことがあります。
契約を断られた経験がある方に向けて、独自の審査基準で申し込みを受け付けているサービスもあります。
生活保護中にスマホを契約するときにつまずきやすい点
ここからは、実際に申し込もうとしたときにつまずきやすい点を整理します。心当たりがあるものがないか確かめてみてください。
端末代の分割払いには審査がある
スマホ端末を分割払いで購入する場合は、端末代金の割賦契約について審査があります。携帯電話会社などは、信用情報も確認しながら各社の基準で総合的に判断します。
審査基準は各社ごとに異なるため、生活保護を受けていることや収入額だけで結果が決まるとはいえません。端末を一括で購入するか、手元の端末を使ってSIMだけ契約すれば、端末代の分割審査は避けられます。ただし、SIMだけの契約でも回線契約の審査や本人確認は別途行われます。
クレジットカードや銀行口座がないと申し込めない会社がある
携帯電話会社や料金プランによっては、支払い方法がクレジットカードや口座振替に限られていることがあります。利用できる支払い方法がない場合は、そのサービスを申し込めないことがあります。
コンビニ払いなど別の支払い方法に対応したサービスを選ぶ方法もあります。ただし、支払い方法以外の申込条件や審査がなくなるわけではありません。申し込む前に、利用できる支払い方法と契約条件を確認しましょう。
過去の携帯料金の未払いが残っていると断られることがある
過去の携帯料金の未払いが残ったまま契約を解除されている場合は、新しい携帯電話の契約審査に影響することがあります。
一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)では、契約解除後も料金不払いが残っている利用者の情報を、参加する携帯電話事業者の間で交換しています。交換される情報には、氏名・生年月日・性別・住所・契約解除前の電話番号等・連絡先電話番号・料金不払いの状況が含まれます。
情報交換の期間は契約解除後5年以内で、期間を過ぎると自動的に抹消されます。また、料金を完済した場合は原則として情報交換の対象外になります。こうした情報は新規契約時の加入審査に利用され、料金不払いの状況によっては申し込みを断られることがあります。
未払いが残っている場合は、まず以前契約していた携帯電話会社に連絡し、未払い額や支払い方法を確認してください。支払い方法や相談できる内容は会社によって異なります。
他人になりすまして契約するのは避ける
家族や知人の名義を使うこと自体が、すべて違法になるわけではありません。ただし、本人の同意なく名義を使ったり、本人になりすまして申し込んだり、本人確認で虚偽の申告をしたりするのは避けてください。
契約は名義人の責任で行われ、料金の支払いや契約上の義務も名義人に生じます。自分で契約するのが難しい場合は、他人になりすますのではなく、利用したい携帯電話会社に正規の申込方法を確認しましょう。
携帯電話会社で契約を断られたときにできること
大手の携帯電話会社で断られても、道が閉ざされたわけではありません。いまからできることを3つ挙げます。
端末代の分割を避けてSIMだけ契約する
いま手元に使えるスマホがあるなら、端末を新しく買わずにSIMだけ契約する方法があります。端末代の分割審査を避けられるため、端末購入を伴う申し込みより手続きが一つ減ります。ただし、回線契約の審査や本人確認は別途必要です。
SIMロックがかかっている端末は、解除の手続きが必要な場合があります。各社の公式サイトで手順を確かめてください。
支払い方法にコンビニ払いを選べるサービスを探す
クレジットカードや銀行口座がなくても、コンビニ払いに対応しているサービスなら、その支払い方法を利用できる場合があります。ただし、年齢や本人確認書類など、ほかの申込条件も確認が必要です。
独自の審査基準で申し込みを受け付けているサービスを探す
大手で契約できなかった方に向けて、独自の審査基準で申し込みを受け付けているスマホ・SIMサービスもあります。過去に携帯料金の未払いがあった方を申込対象としているサービスもありますが、審査や契約条件がなくなるわけではありません。
なお、返済の負担が大きい状態が続いているときは、通信だけの問題にとどまらないこともあります。法テラスや、弁護士・司法書士などの専門家に相談すると、家計全体の見通しを立てやすくなります。
スマホ契約に困っているなら即モバ
生活保護の手続き、求職活動や通院など多くの場面で、電話番号やメールアドレスなどの連絡手段の把握や連絡先の記入を求められます。
一方で、スマホの通信費は毎月の家計から支払う必要があります。必要な連絡手段を確保しながら、データ容量や通話の使い方に合った、負担の少ないプランを選ぶことが大切です。
即モバは、他社で携帯料金を滞納したことがある方も申込対象としている、ドコモ回線のスマホ・SIMサービスです。本人確認は全国のセブン銀行ATMで行え、支払いはコンビニ払いとクレジットカードから選べます。また、全プランに1回10分未満の国内通話が対象となる「10分かけ放題」が付いています。
なお、契約は18歳以上の個人に限られます。

