金融事故とは?信用情報に記録される5つのケースと消えるまでの期間

信用情報 12min

金融事故とはなにか

金融事故とは、クレジットカードやローンの返済が長く遅れた、返済ができなくなったといった情報を、信用情報機関に記録された状態を指す言い方です。法律用語ではないため、使う人によって指す範囲は少し違います。

信用情報とは、クレジットカードや分割払い、各種ローンの契約について、契約内容や支払い状況を登録した個人の情報です。クレジットカード会社や金融機関が、審査の参考資料として利用しています。

「ブラックリスト」という名簿があるわけではない

よく「ブラックリストに載る」と言われますが、そういう名簿が存在するわけではありません。実際に起きているのは、信用情報のなかの支払い状況の欄に、契約どおりに支払われなかった事実が記録されることです。

CIC(株式会社シー・アイ・シー)の開示報告書では、この記録は「異動」と表示されます。異動として記録されるのは、次の3つのいずれかに当たる場合です。

・返済日より61日以上または3ヶ月以上の支払遅延(延滞)があるもの、またはあったもの

・返済ができなくなり、保証契約における保証履行が行われたもの

・裁判所が破産を宣告したもの(破産手続開始の決定がされたもの)

数日の遅れがすぐに異動になるわけではありません。ただし、異動に至らない範囲の遅れも、毎月の入金状況として24ヶ月分が記録されます。CICの開示報告書では、期日に入金がなかった月には「A」の記号が表示されます。

信用情報を管理しているのはCIC・JICC・KSCの3つの機関

日本には、個人の信用情報を扱う機関が3つあります。

・CIC(株式会社シー・アイ・シー)……クレジットカード会社や携帯電話会社などが加盟

・JICC(株式会社日本信用情報機構)……消費者金融や信販会社などが加盟

・KSC(全国銀行個人信用情報センター)……銀行や信用金庫、信用保証協会などが加盟

どの機関に記録が残るかは、どの会社と契約していたかで変わります。金融機関によっては複数の機関に加盟しているため、1つの機関だけを確認しても全体はわかりません。

金融事故として記録される5つのケース

ここでは、記録につながりやすい代表的な状況を整理します。いずれも、支払いが難しい状況が続いた結果として起こるもので、本人の努力不足だけが原因になるとは限りません。

61日以上または3ヶ月以上の長期延滞

もっとも多いのが、返済日から支払いが長く止まってしまうケースです。CICでは、返済日より61日以上または3ヶ月以上の支払遅延があると、異動として記録されます。

金額の大小は関係しません。数千円の支払いでも、数十万円の返済でも、記録のうえでは同じ扱いになります。

代位弁済(保証会社が代わりに支払った場合)

ローンやクレジットカードには、返済ができなくなったときに代わりに支払う保証会社がついている場合があります。保証会社が本人に代わって支払うことを代位弁済といい、CICでは保証履行として記録されます。

代位弁済が行われても、支払う相手が保証会社に変わるだけで、返済の義務そのものは残ります。

強制解約

支払いが長く止まった状態が続くと、カード会社や金融機関から契約を打ち切られることがあります。これが強制解約です。

JICCでは、強制解約は「取引事実に関する情報」として登録されます。同じ区分には、債権回収、債務整理、保証履行、破産申立、債権譲渡なども含まれます。

債務整理をした場合

任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理を行った場合も、その事実が信用情報に登録されます。JICCでは、これも取引事実に関する情報として扱われます。

債務整理は、生活を立て直すために法律で認められた手続きです。記録は残りますが、それによって返済の負担を軽くできる場合もあります。どの手続きが向いているかは事情によって大きく違うため、弁護士や司法書士などの専門家に相談して判断してください。

破産・民事再生の手続開始決定が官報に載った場合

自己破産や個人再生の手続開始決定は、官報という国の機関紙に掲載されます。KSCは、この官報情報を独自に集めて登録しています。

そのため、破産や民事再生の場合は、取引の記録とは別に官報情報としても残ることになります。この点が、あとで説明する登録期間の違いにつながります。

携帯料金の未納は金融事故になるのか

携帯電話の料金を払えなかった経験がある方にとっては、携帯料金の未納が金融事故となるか気になるでしょう。実は通信料金そのものの未納と、端末の分割払いの延滞は、まったく別の仕組みで扱われます。

通信料金の未納は信用情報機関ではなく事業者間で交換される

毎月の通話料やデータ通信料といった通信料金の未納は、信用情報機関に登録される情報ではありません。代わりに、一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)が取りまとめる「不払者情報」として、携帯電話会社などの移動系通信事業者のあいだで交換されています。

TCAによれば、この仕組みは1999年(平成11年)4月から続いています。対象となるのは、契約解除後に料金の不払いがある方です。交換される情報は、氏名、生年月日、性別、住所、契約解除前の電話番号、連絡先電話番号、料金不払いの状況です。

大切なのは、次の2点です。

・料金を完済すれば対象から外れます。信用情報機関の記録のように、完済してからさらに5年待つ必要はありません

・自己破産などにより免責が決定している方、料金不払いについて訴訟中で判決が確定していない方は、交換の対象に含まれません

なお、完済した事実が他の事業者にすぐ伝わらず、情報が残っている場合があります。心当たりのある方は、申し込み先の事業者に申告すれば、以前の事業者に確認してもらえます。

端末の分割払いの延滞は信用情報機関に記録される

一方、スマホ本体を分割払いで購入した場合は話が変わります。CIC自身が、携帯電話会社は分割払い契約をした事実を登録し、その後も購入代金の支払い状況を毎月記録する、と説明しています。

つまり、端末の分割払いはクレジット契約の一種として扱われ、支払いが長く遅れれば異動として記録されます。CICは、住宅ローンの審査でスマホの購入代金の支払いが数ヶ月分止まっていたことが判明し、契約が見送られる例も挙げています。

「携帯料金を滞納した」理由が、通信料金だけだったのか、端末代金も含んでいたのかで、残る記録はまったく違うということを覚えておきましょう。

公共料金や税金の滞納は信用情報機関には登録されない

電気、ガス、水道の料金や、税金の支払いそのものは、クレジットやローンの契約ではありません。そのため、信用情報機関が登録する情報には含まれません。

ただし、これらをクレジットカード払いにしている場合は、カードの利用代金の支払いが遅れることになるため、カード会社との契約の記録には影響します。

金融事故の記録が残る期間は機関ごとに違う

ここでは、各機関が公式に示している現在の登録期間を整理します(2026年9月時点)。

CICは契約期間中および契約終了後5年以内

CICのクレジット情報(契約内容と支払い状況)は、契約期間中および契約終了後5年以内が保有期間です。異動の有無もこのクレジット情報のなかに含まれます。

クレジットやローンを申し込んだ事実を示す申込情報は、照会日より6ヶ月間で消えます。審査に落ちたこと自体が5年残るわけではありません。

JICCは契約終了後5年以内(2019年10月以降の契約)

JICCは、契約日によって登録期間の決まりが違います。

・契約日が2019年10月1日以降……返済状況も取引事実も、契約継続中および契約終了後5年以内

・契約日が2019年9月30日以前……完済日から5年を超えない期間。ただし延滞情報は延滞継続中、延滞解消の事実は発生日から1年を超えない期間

「JICCの延滞は1年で消える」という説明を見かけますが、これは2019年9月30日以前に契約したものに当たる決まりです。いま新しく契約したものについては、5年以内が原則になります。

申込情報は、照会日から6ヶ月以内で消えます。

KSCは取引情報が5年、官報情報が7年

KSCは、情報の種類ごとに期間が違います。

・取引情報(契約内容と返済状況の履歴)……契約期間中および契約終了日、完済されていない場合は完済日から5年を超えない期間

・官報情報(官報に公告された破産・民事再生手続開始決定)……当該決定日から7年を超えない期間

・照会記録情報……利用日から、本人開示の対象は1年を超えない期間

「KSCの自己破産は10年」と書かれた記事もありますが、官報情報の登録期間は現在7年です。

完済しないと期間の数え始めが来ない

3機関に共通する、いちばん大事な点がここです。登録期間の起点は、多くの場合「契約終了」や「完済」であり、延滞が続いているあいだは期間が数え始められません。

「もう5年たったはずなのに記録が消えない」というとき、契約そのものが終わっていない、あるいは残債が残ったままになっているケースが少なくありません。まず自分の契約がどうなっているかを確認することが重要となります。

自分に金融事故の記録があるかを確認する方法

心当たりがなかったとしても、実際の記録を見たほうが確実です。3つの機関はいずれも本人からの開示請求を受け付けています。

3つの機関それぞれに開示請求する

機関ごとに手続きと手数料が違います(いずれも2026年9月時点)。

・CIC……インターネット開示は500円(税込)。8時から21時45分まで毎日利用できます。マイナンバーカードと専用アプリによる本人確認が必要で、初回はスマホからの手続きのみです。郵送の場合は、申し込みから1週間から10日ほどで開示報告書が届きます

・JICC……スマホアプリからの申し込みで700円(税込)。マイナンバーカードで本人確認を行い、結果の受け取りまで1日から3日程度かかります(土日祝日、年末年始を除く)

・KSC……インターネット開示は800円。マイナンバーカードによる本人確認が必要です。申し込みから最短3営業日から5営業日ほどで開示できます。窓口での受付は行っていません

どの機関に記録が残っているかがわからない場合は、3つとも請求するのが確実です。なお、KSCの本人開示では、他の機関に登録されている情報は確認できません。

開示請求をしたこと自体が審査に不利にはたらくことはありません。開示は本人の権利として認められた手続きです。

開示結果のどこを見ればよいか

CICの開示報告書であれば、まず「お支払いの状況」のなかの返済状況の欄を見てください。ここに「異動」と表示されていなければ、異動としての記録はありません。

あわせて確認したいのが入金状況の欄です。24ヶ月分の記号が並んでおり、意味は次のとおりです。

・「$」……請求どおり、またはそれ以上の入金があった

・「P」……請求額の一部が入金された

・「A」……本人の事情で、約束の日に入金がなかった

・「-」……請求も入金もなかった

「異動」がなくても「A」が並んでいる場合は、審査で慎重に見られることがあります。

保有期限の欄には、その情報が削除される時期が表示されます。あと何年待てばよいかは、この欄で確認できます。

記録の内容が事実と違うときの申し立て

開示された情報は、加盟している会社が登録したものです。内容が事実と違う場合には、事実関係を確認するための調査依頼制度があります。CICでは全国共通ダイヤルで受け付けています。

たとえば、完済したはずの契約が残債ありのままになっている、身に覚えのない契約が登録されている、といった場合は、そのままにせず問い合わせてください。

返済の見通しが立たないときの相談先

開示の結果、返済が続けられない状態だとわかった場合は、早めに相談したほうが選択肢は多く残ります。

弁護士や司法書士は、任意整理や個人再生、自己破産といった手続きの相談に応じています。費用の負担が難しい場合は、お住まいの自治体の相談窓口をあたってみてください。無料の法律相談や、生活の立て直しに関する相談を受け付けていることがあります。具体的な制度の内容や条件は地域によって違うため、お住まいの自治体にご確認ください。

「もう遅い」ということはありません。いまの状況を正確に把握し、相談を行うことが大切です。

記録が消えるのを待つあいだの連絡手段を確保する

信用情報の記録が消えるまでには、どうしても年単位の時間がかかります。一方で、開示請求の結果を受け取ることも、専門家との相談を予約することも、仕事を探すことも、連絡のつく電話番号がないところでは止まってしまいます。

だからこそ、記録の回復を待つあいだも、通信手段を残しておくことが大切になります。

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