生活保護のケースワーカーとはどんな人か
ケースワーカーは、生活保護を受ける方やこれから申請する方を担当する、福祉事務所の職員です。まずは立場と担当範囲を押さえておくと、過度に身構えずに済みます。
福祉事務所で働く地方公務員
ケースワーカーは、法律上は福祉事務所の「現業を行う所員」と呼ばれます。社会福祉法15条4項では、家庭訪問や面接で資産や環境を調べる職員と定められています。保護が必要かどうかを判断し、生活指導を行うのも仕事です。
勤務先は市区町村や都道府県が置く福祉事務所で、身分は地方公務員です。また同じ条文の6項で、現業を行う所員は社会福祉主事でなければならないとされています。
1人が担当する世帯数の目安
ケースワーカーの人数は条例で定めますが、社会福祉法16条には現業員数の標準が示されています。市の福祉事務所では被保護世帯240世帯以下なら3人とし、80世帯増えるごとに1人を加えるのが標準です。都道府県の福祉事務所では390世帯以下なら6人とし、65世帯増えるごとに1人を加えるのが標準です。町村が設置する福祉事務所では160世帯以下なら2人とし、80世帯増えるごとに1人を加えるのが標準です。
このため、標準上の目安は、市や町村の福祉事務所ではケースワーカー1人あたりおおむね80世帯、都道府県では65世帯程度です。ただし、実際の担当世帯数は自治体の職員配置や世帯数によって異なります。
ソーシャルワーカーとの違い
「ソーシャルワーカー」は、福祉の相談援助を仕事にする人を広く指す呼び方として使われます。病院にいる医療ソーシャルワーカーなどもその一例です。
生活保護では、ケースワーカーが申請時の調査や受給中の援助、保護の決定に必要な事務を担います。保護の開始や変更などを法的に決定するのは「保護の実施機関」です。入院や通院のことで困ったときは、病院のソーシャルワーカーとケースワーカーに連絡を取り合ってもらうよう頼むこともできます。
ケースワーカーが申請から受給中までにすること
ケースワーカーの仕事は、申請時の調査から受給中の訪問や相談まで続きます。流れを知っておくと、次に何が起きるのかを予想しやすくなります。
申請時の面接と調査
福祉事務所の窓口では、まず面接で生活の状況や困りごとを聞き取ります。申請が出されると、資産や収入の状況を調べたうえで、保護をするかどうかが決まります。
決定の通知は、生活保護法24条5項により原則として申請から14日以内です。特別な理由があれば延びることもあります。30日以内に通知がないときは、申請が却下されたものとみなすことができます(同条7項)。
家庭訪問は原則として年2回以上
受給が始まると、ケースワーカーが定期的に自宅などを訪問します。厚生労働省の実施要領では、世帯の状況に応じて必要な回数を訪問し、原則として少なくとも1年に2回以上訪問するとされています。ただし、グループホームなどを利用し、施設管理者等が日常の生活実態を把握して福祉事務所へ報告している世帯などでは、1年に1回以上の訪問で差し支えないとする例外があります。
訪問の回数は世帯の事情によって変わります。体調や仕事探しの状況などを確認する場でもあるため、困っていることがあればこの機会に伝えておきましょう。
仕事・病院・住まいの相談
ケースワーカーには、仕事探し、病院の受診、住まいの問題など、生活全般のことを相談できます。生活保護法27条の2では、求めがあれば自立を助けるための相談に応じ、助言できるとされています。
「こんなことを聞いてよいのか」と迷うことでも、まず話してみましょう。使える制度やほかの窓口を教えてもらえる場合があります。
受給中に必ず守ることと、強制されないこと
受給中には、法律で決められた義務があります。一方で、ケースワーカーが何でも強制できるわけではありません。この線引きを知っておくと、必要以上に怖がらずに済みます。
届け出が必要な変化(収入・世帯・住所)
生活保護法61条では、生計の状況や住所、世帯の構成が変わったときは、速やかに届け出なければならないとされています。働き始めた、家族が増えた、引っ越すことになった、といった変化が当てはまります。
不実の申請その他不正な手段で保護を受けた場合、保護費の全部または一部が徴収されるほか、その徴収額の40%以下を加えて徴収されることがあります(生活保護法78条1項)。迷ったら自分で判断せず、まずケースワーカーに伝えて確認しておきましょう。
指導・指示に従う義務と、その限界
生活保護法27条では、保護の実施機関は、生活の維持や向上など保護の目的達成に必要な指導や指示をすることができます。実務上は、ケースワーカーからその内容を伝えられることがあります。受給者には、その指導や指示に従う義務があります(同法62条1項)。
ただし27条2項では、指導や指示は受給者の自由を尊重し、必要な最小限にとどめなければならないとされています。3項では、本人の意に反して強制できるものと解釈してはならないとも定められています。
生活保護法27条の指導や指示に従わなかったことを理由に、同法62条3項による保護の変更・停止・廃止を行う場合、生活保護法施行規則19条により、その指導や指示は書面で行われている必要があります。その処分の前には、弁明の機会が与えられます(生活保護法62条4項)。なお、保護が不要になった場合や、同法28条の調査を拒んだ場合など、別の規定に基づいて保護が変更・停止・廃止されることもあります。言われた内容に納得できないときは、理由を尋ねてメモに残しておきましょう。
ケースワーカーが怖い・合わないと感じたとき
ケースワーカーも人なので、相性が合わないと感じることはあります。我慢を続けるより、決まった相談先を使うほうが状況は動きやすくなります。
家庭訪問の日程は変えてもらえるか
生活保護法28条1項では、保護の決定や実施などに必要があると認めるとき、福祉事務所の職員が居住場所に立ち入り、資産や収入、健康状態などを調査できるとされています。必要な報告をしない、虚偽の報告をする、立入調査を拒む・妨げる・忌避するなどの場合は、申請の却下や保護の変更・停止・廃止の対象になることがあります(同条5項)。一方、通院や仕事などで予定日に対応できない場合に、あらかじめ日程変更を相談することとは区別して考える必要があります。
一方で、通院や仕事の予定と重なるなど都合が悪い日は、早めに連絡して日程を相談してみましょう。理由を伝えて別の候補日を出せば、調整に応じてもらえる場合があります。
担当を変えてほしいときの相談先
担当者の言動がつらいときは、福祉事務所の中で現業を指導監督する職員に相談できます。社会福祉法15条3項で定められた職員で、一般に「査察指導員」と呼ばれています。
担当の変更が認められるかどうかは、福祉事務所の判断によります。いつ、何を言われたかを日付つきでメモしておくと、相談するときに状況を伝えやすくなります。
決定に納得できないときは審査請求ができる
保護の停止や却下などの処分に納得できないときは、審査請求という手続きで見直しを求めることができます。審査請求は、原則として処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に行う必要があります。また、原則として処分があった日の翌日から1年を経過すると審査請求はできません。いずれも正当な理由がある場合は例外があります(行政不服審査法18条)。
手続きの進め方や見通しは、状況によって異なります。法テラスや弁護士などの専門家、またはお住まいの自治体の相談窓口に早めに相談してください。
ケースワーカーと連絡がつかないとき・連絡先が変わったとき
届け出や相談を円滑に進めるには、福祉事務所と連絡を取れる手段を確保しておくことが大切です。ここでは、連絡がうまくいかないときの動き方を整理します。
担当者がつかまらないときの連絡のしかた
担当者が訪問や外出で席を外していることは珍しくありません。電話がつながらないときは、用件と折り返し先の番号を伝言として残しておくと、行き違いを減らせます。
急ぎの用件なのに返事がない場合は、福祉事務所の窓口に出向いて相談するのも1つの方法です。連絡した日時と内容をメモしておくと、あとで経緯を説明するときに役立ちます。
電話番号を変えたら早めに伝える
法律で届け出が義務づけられているのは、収入や住所、世帯の変化などです。それでも、電話番号が変わったり使えなくなったりしたときは、早めにケースワーカーへ伝えておきましょう。
連絡がつかない状態が続くと、家庭訪問の日程調整や書類の確認に時間がかかることがあります。
連絡用の携帯に困ったら即モバ
ここまで見てきたとおり、生活保護の手続きではケースワーカーとのやりとりが重要です。しかし、携帯契約は過去に滞納歴があるとできない場合があります。
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